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体験談

確認恐怖(ガス栓恐怖)-50代女性、主婦

わたしがガス栓が気になって外出もままならなくなったのは40歳になったばかりの頃でした。その日、買い物に出かけて帰宅すると、玄関を開けた途端に家の中が凄い煙で火事だと思いました。慌てて家の中に飛び込むと、火元はキッチンです。わたしは煮物の鍋に火を付けたまま外出してしまったのです。煙は煮物と鍋が焼けて焦げたもので、その煙といい焦げた匂いといい凄いものでした。幸い、発見が早く、水道の水をかけて消火することが出来ました。しかし、もう数分でも遅かったらと思うと今でもぞっとします。それ以来、外出するときは火が消してあるか、ガス栓は閉まっているかを何度も確認するようになりました。最初の頃は、何回か確認して納得するとあとは問題ありませんでしたが、そのうちに外出先で気になるようになりました。気になりだすと居ても立ってもいられないような気持ちになり、買い物も早々に切り上げて帰宅するようになりました。

わたしも夫も音楽会や演劇が好きで、独身時代から月に一度は必ず一緒に出掛けていました。ところが、楽しいはずの演劇を見ていても途中から家のことが気になって楽しむどころでは無くなってしまいました。音楽会や演劇のあとでは一緒に食事をすることも多かったのですが、それがままならなくなりました。食事を楽しみにしていた夫が「どうしたのか?」と訊きますので、「ガス栓のことが気になって」と正直に言いました。すると、夫が、「馬鹿だな。そんなこと気にするなんてどうかしている」と頭から軽蔑するように言ったのが心に堪えました。わたしも、そんなこと気にしたくはないのですが、どうにもなりません。そのうち音楽会にも演劇にも同行できなくなりました。夫からは呆れられ、病院の精神科で診てもらえと言われたのはショックでした。それ以来、夫にも本当のことが言えなくなりました。心の悩みに関する本を買って勉強したり、精神科を受診して相談したりしました。病院はいくつか通いましたが、どこも薬をくれるだけです。それでも一時は良くなったような気持ちになったことはありましたが、悪くなる一方でした。山村先生に出会って、薬は一時的な気休めにしかならないと言われましたが、まったくその通りだと思います。
先生に相談して、まず分かったことは、わたしが苦しんでいたのは、不全感を拭えないことに対する恐怖だったということです。わたしはガス栓が閉まっていることを何度も自分の目で確認していますから、自分でも閉まっているはずだと思うのですが、心の中から突き上げて来る不安に抗えなかったのです。いまでも、先生に言われたことが忘れられません。「あなたのご主人はガス栓のことを気にされることはありませんか?」と訊かれましたので、「主人はそんなことを気にするような人ではありません」と即座に答えました。すると、先生は、「もしご主人も、あなたと同じようにもう一歩で火災になるところだったというような経験をしておられたら、少しは気にしたはずです。少しは気にするが、会社での仕事のことや同僚との付き合いのことなどに関心が移って、永く気に留めないのです」とおっしゃいました。わたしは夫はもちろんのこと、近所の主婦の皆さんと比べても、わたしのような心配性の人間はいないと思っていましたから、夫でも気にすることがあるはずだとおっしゃられたときには目から鱗のような気持ちになりました。今から思えば、誰でも心配することがあるなんて当たり前だと分かるのですが、当時は、わたしだけが心配性でどうしようもない人間だと思い込んでいました。
先生は、また、「人間ならば誰でも風をひくことがあるように、誰でも強い不安を抱くことはある。風邪の場合、会社や学校を休んで安静にしていれば自然に治ってしまうけれども、中には、あれこれと要らぬ治療をして風邪をこじらせる人がある。いまのあなたは、いわば風邪をこじらせた状況で、専門家でなければ容易に治せない状況になっている」ともおっしゃいました。しかし、「必ず治りますよ」という先生の言葉を信じて相談を続けました。
最初の頃、先生から3回まで確認したら、とりあえず他のしなければならないことに移るということを実践しなさいと指導されました。ところが、3回ほど確認してから家の掃除などを始めるのですが、やはりガス栓が気になって仕方がありませんでした。そうなると元の木阿弥で、また、確認行為をしてしまうのです。そして、凄い敗北感と罪悪感でどうしようもなくなりました。それを先生に相談すると、「気になるのは永年の癖ですから仕方ありません。気にしても良いのです。気にしないようにすればするほど気になるでしょう。気になっても構いませんから、掃除を続けてください」と言われて、わたしは何か頭をごつんと叩かれたような気持ちになりました。それまで、わたしはガス栓が気になりだすと、その気になることを心の中から払拭しないかぎり何も出来ないと思い込んでおりました。それからは、気にしながら家事をこなすということの実践の繰り返しでした。最初はそれでもやはりどうしても確認行為を止められないこともありました。そのたびに、先生からは少しずつ出来るようになって来ているのだから、出来ない自分を責めないで、出来ている自分を褒めながらやってくださいと励まされ、これを続けました。
3ヶ月くらいすると、ガス栓のことが気になっても、掃除も洗濯も出来るようになりました。買い物に出ても、以前のように飛んで帰るというようなことが無くなりました。こうなると不思議なことに、それまで寝ても醒めてもガス栓のことばかり考えていたのが、家事をしているときには忘れていることもあることに気が付きました。考えてみれば、確認恐怖に陥る前の自分はこうだったのです。わたしは、先生が、「確認恐怖で苦しむ前の自分はそうでなかったのだから、それを取り戻すことが出来るはずです。それを思い出すことが治療の手掛かりになります。解決の鍵は、自分の記憶の中にある」とおっしゃっておられたことを思い出しました。まさに、昔の自分の感覚を取り戻したと思いました。
それを先生にご報告しますと、先生も大変喜んで、「もう少しですよ」と励ましていただきました。そして、「ご主人と音楽会に出かけてみたらどうです」と勧められました。
わたしはそこまで回復しているとは思いませんでしたから、躊躇してしまいました。もし、夫にもう大丈夫だなどと言って、やはり飛んで帰るようなことになったら、きっと落ち込んでしまうに違いないと思ったからです。それを先生に相談しますと、「失敗したら、失敗したで一からやり直したらいいじゃないですか。落ち込んでも大丈夫ですよ。必ず立ち直れますから。思い切り心配しながらやってみたらどうですか」と、背中を押されました。
わたしは、ほんとうにドキドキしながら、久しぶりに行ってみたいと思っていた音楽会のことを夫に話してみました。すると、夫はやはり心配そうでしたが、行ってみようということになりました。
もう、その日は朝からドキドキでした。しかし、先生の、「ドキドキしながらやったら良いですよ」という言葉を胸にしまいながら、音楽会に出掛けてみました。すると、やはり音楽会の途中でも、そのあとの食事のときもガス栓のことが気になりました。しかし、「気にしながら、いまのことをやる」と言い聞かせて、最後まで夫と一緒に過ごしました。夫は驚いたように、「どうやって治したのか?」と訊きましたので、クリニックで相談したことと、実は、まだ少し不安があるのだということも正直に話しました。すると、夫が、「ここまで出来るようになったなら上出来だよ。よく頑張ったね」と慰めるようなことを言ってくれたので、思わず泣いてしまいました、これまでの辛かったことが一遍に込み上げて来たのです。
まだ、ガス栓を3回確認しないと他の行為に移ることは出来ません。しかし、先生からは、無理に止めようとしなくて良いと言われて気持ちが楽になりました。自然に回数が減るようになるはずだとも言われています。いまのままでも家事にも人とのお付き合いにもほとんど支障が無くなったと思います。
先生に相談を始めた頃、わたしの確認恐怖は「ちょっとした勘違い」が原因だと言われたときには大いに反発を感じました。わたしの苦しみはそんな単純なものじゃないと。しかし、わたしは不安を取り去らない限り何も出来ないという勘違いを永い間繰り返して恐怖に陥っていたのです。こうして克服してみて初めて、先生がおっしゃったことがよく分かりました。
 

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